龍船の製作年代は定かではないが、諏訪神社回廊の絵馬に描かれている絵より想像すると明治以前の作ではないかと思われる。
歴史上、龍船が登場するのは平安時代、 「源氏物語」 「紫式部日記」にて「唐の船に似たのに龍頭鶴首を飾って・・」とある。この船は今も大覚寺の池畔に再現されている。
では西M町龍船に関する由来を検証すると、昔アニオーさん(安南語でアニヨン即ち王后を意味する)が長崎人荒木宗太郎(貿易商人)に嫁入りする際、大波止より上陸して華麗な行列をつくり、市中を練り夫の元に至った際の王女の船を暗示したものと思われる。
従って根曳は昔は全部唐人服を用いたもので、龍船上で唐子踊りをした、その服装が今に残っている。
周知の如く西M町の龍船は最も整った船体構造をなし、最も龍船らしい組織と装飾を備えた我国、古代型龍船中代表的逸品である。
|